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「我慢」と「しつけ」

コラム

ゴールデンウィークもおわりました。新生活のスタートから数か月たち、少し疲れが見え始めた生徒、新生活にも慣れ、学生生活を大いに楽しんでいる生徒といろいろな姿が見られます。

私は、最近、子どもたちを取りまく様々なことを考える時間が増えました。

今は、大半の子どもたちにとっては、欲しいものが何でも手に入る「豊かすぎる時代」です。私たちが幼少の頃は、まだまだ物に対して我慢しなくてはならない時代でした。今の子供たちは、本当に良い環境が整っているな、と感じます。

しかし、その我慢をしなくてよいことが、今の社会の悪の部分に表れていると私は感じます。

「高額バイト」「闇バイト」という言葉を最近のニュースでよく耳にします。最近の事件でも、闇バイトで雇われた未成年が銀行を襲うという事件がありました。そのほかにも詐欺事件に未成年が関わっていたりという話は珍しい事件ではなくなっています。こういった事件では、インターネットを通じてアルバイトとして雇われて、犯罪に手を染めるという、理解しがたい状況があります。まずそもそもそういうサイトを運営する人間が悪いのですが、それに応募する若者の多いことにも驚きです。そんな簡単に高額の報酬が得られる仕事があるわけがないと、考えればすぐわかることです。

アルバイトといえば、アルバイト先の商品で悪ふざけをしたり、商品を破損させたりしてSNSで発信したりする「バイトテロ」の事件もありました。犯人は大半が未成年の学生でした。これが犯罪であることが理解できないのかと本当に怒りを覚えます。

こういう犯罪がなぜ起こるのか?若者がなぜこういう事件を起こすのか?

「ルール」に対する認識の甘さがあると思います。学校、仕事(アルバイト)先、地域社会、家庭内、生活を送るどのカテゴリーにおいても「ルール」は存在します。中には、自分の思いと異なるルールもあるかもしれません。守るのに「我慢」しなければならないルールもあるかもしれません。ルールはそこに属する人みんなが気持ちよく生活を送るために必要なものです。しかし、そのルールが守れない、守るための「我慢」ができない。

なぜ「我慢」ができないか。それは、幼少のころから「我慢」ということをしたことがないからではないでしょうか。物があふれ、いらなくなればポイと捨て、また新しいものが手に入る。嫌と言えばやらなくてよい、許されることが多い子どもたちが大きくなって我慢することができるかと言えばそれは難しいでしょう。

そうかと思えば何もかも「ダメ」で育ち、「どうせ…」の気持ちが大きくなる、はたまた虐待、ネグレクト、などで育っている子も昨今報道で目にし、耳にします。悲しい現状があります。

子育ては忍耐だと思います。今も昔も変わりません。子に対する愛情=忍耐力なのです。子は親の思い通りに育ちません。親が良かれと思って言ったこと、したことが必ずしも正解ということはないのです。

テレビの教育評論家の言うことを聞いていると「確かにそうだな」と納得することもあります。彼らの言うことももっともですが、果たしてそれだけでいいのだろうか?と疑問に思うことがあります。時代が流れ、生活が変わり、考え方が変わる中で教育現場も変わっています。変わってはいますが、「変わってはいけないこと」「変えるべきではないこと」があると思います。

それは「正しいしつけ」です。

「しつけ」という言葉は着物の「仕付け」を背景に持つ言葉だそうです。着物の形が整うように仮に縫いつけておくことを「仕付ける」と言います。「仕付け」はのちに取り外され、着物が出来上がるときにはあってはいけないものです。

何を言いたいかというと、子どもの「しつけ」も同じなのではないかということです。「しつけ」と聞けば、きちんと、ちゃんと、厳しくすることが大切に思えるかもしれませんが、成長するにつれて、自ら考えて行動できるように指南してあげることこそが「しつけ」なのではないでしょうか。礼儀を教える、社会のモラルを守るよう教える、仕事とは、学習とは、努力とはを教える。厳しい言葉をかけることも必要な場合もあると思います。毅然とした態度で大人が接しなければならなこともあります。我慢と忍耐です。ただただキツく怒る、冷たくする、暴力をふるう(もってのほかです)。これは「しつけ」ではありません。

メジャーリーガーの大谷翔平選手を知らない人はないと思います。彼は今や世界のスーパースターです。テレビで大谷選手を見ない日はありません。テレビのインタビューなどで見る大谷選手は、言葉使いも丁寧です。礼儀正しい人だと思います。きっと幼少のころから親御さんや、指導者に「しつけ」をしてもらったのでしょう。そして、だれも見ていないところでの、彼自身の我慢や努力が毎試合でのベストパフォーマンスにつながっているのだと思います。

私たちは大谷選手をはじめとする、スターたちの輝いている所だけを見ています。身の回りの成功している人、勉強ができる友だちの輝いている所だけを見て「いいなぁ」と思ってしまいます。そういった、輝いている人たちが、陰で我慢をし、努力しているということを知らない、気づかないのではないでしょうか。
嫌なこと、苦しいことは世の中にたくさんあります。仕事も勉強もうまくいかないことの方が多いです。しかしそれを乗り越えて初めて、明るくキラキラ輝けるのだと思います。
昨今の報道で見るような若者が増えてしまっては日本は崩壊します。子どもを育てる大人が、何が大切か、何が必要か、真剣に考え、子も大人も成長していくことが大切だと思います。  昭和の男である私も・・・・。