進栄セミナー

ボスのつぶやきBOSS TWEETS

人の目・人の手・人の気持ち

コラム

 

昨今、教育業界にはAIが導入されています。タブレット学習では生徒の基本情報を入力すれば、演習→解答・解説・弱点の提示→補強まで1つのパッケージとして使用できるというまさに夢のようなシステムもあります。昭和の頭しか持ち合わせていない私にとっては想像もつきません。

しかし、少し立ち止まって考えてみると、少し心配といいますか懸念されることがあります。

確かに上記のシステムは大変便利です。今まで問題はいちから手作り、解答も赤ペンで丸付け、解説は声をからして説明、弱点は何度も何度も繰り返し教えてきたのですから。しかしそうやって私たちは授業スキルを身に付け、子どもの間違いそうな問題、つまづきポイントを見つけ出してきたのです。それがすべてAIがやってしまうとなると指導力は確実に落ちます。

また、子どもの様子、問題を解いているときの表情、手の動き、解法の仕方から子どもたちの成長やさぼり具合なんかも見つけ見守ってきたのです。

「最近よくできるようになってきたなぁ」

「少し問題が簡単すぎたかな、難しい問題にも取り組ませてみようかな」

「あれ、昨日までできてたのに…。今日は何か嫌なことか心配事あるんかな?」

対面で顔を見て授業をすることで微妙な変化がわかり教える側に熱が入ります。これこそが「教育」なのではないでしょうか。

幼稚園児が通園バスに置き去りにされる事件が今年に入って何件も起こっています。報道を見ていて、伝えられているのはAIによる出欠管理システムを人が使いこなせていない、そのシステムを人がいい加減に扱っていることが分かります。

システム導入の前には人の目と手で出欠管理を行なっていたはずです。それが保育者、関係者の大事な仕事の1つだったのです。

それが画期的?なシステム導入という名のもとにべてをAIに任せきりにしていたことが原因ではないでしょうか。スイッチ1つで切ることができるものに大切な子どもの命を預けてしまってはいけません。

AIは人の手助けをしてくれるツールであり人の代わりにはなりません。

医療の現場にもAIは導入されていて、人の代わり、いや人の手以上のはたらきをする精密機器もあります。そういう現場ではAIの技術は必要不可欠なのでしょう。

その医療の現場で私は人の目、人の手が存分に活かされている経験をしています。私は数年前から透析治療をしていますが、その病院の看護師さんたちは毎回「今日はどこか調子の悪いところはありませんか」「前回おっしゃていた足の具合はどうですか?」と聞き取りカルテに記入しています。もちろんカルテの管理はAIです。ツールとしてしっかり活用されています。そしてその情報を全員で共有しています。毎回同じ看護師さんが聞き取りをしているわけではありませんが前回のことをしっかり理解してくれています。たくさんの目で患者を見守ってくれていることが分かります。

今後もますますAIは増えていくことでしょう。教育業界だけでなくすべての業界でAIの技術は発展し人間の生活を便利にしてくれることでしょう。しかしAIはあくまでもツールであり、最終は人間の目と手が必要ではないでしょうか。

「先日息子と仮面ライダーショーに行ってきたんですよ。その時ね、ショーが始まったら、息子がいきなりリュック開けてライダーベルト出してきて、真剣な顔して仮面ライダーに変身したんですよ! 中に入ってるのただのおっさんやのにねー」

私が公私ともにいいお付き合いをさせてもらっているwebデザインを手掛けている会社の社長と話をしているときに彼が私に話してくれました。

彼の息子がとてもかわいい子で、今仮面ライダーに絶賛はまり中だそうです。いつの時代もヒーローは憧れですね。あの仮面ライダーの中をAIが代わりにやったら彼はあんな真剣な目で仮面ライダーをみて一生懸命変身しようとするのでしょうか。