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ボスのつぶやきBOSS TWEETS

自分の歩む道

コラム

先日もう何年も聞いていなかった曲を聞きました。過去のライブの映像をテレビでやっていて見入ってしまいました。「アリス」というバンドです。中学生・高校生の皆さんは知っている人などいないでしょう。保護者の方々でもご存知の方は少ないかもしれません…。

私たち世代では人気を博したバンドです。男性3人のグループです。今では3人とも70歳を超えていることを知り驚きました。

彼らの歌は何度聞いても私の耳には心地よく、素晴らしいと改めて感じました。曲を聴いていて自然と涙がこぼれ、そんな自分を「あぁ、歳を取ったな」と感じました。

誰しも、人生において忘れられない曲というものはあると思います。私の中の忘れられない曲の1つがこのアリスの「遠くで汽笛を聞きながら」です。若いころの夢にあふれた時を思い出し、つらかったこと、悲しかったこと、楽しかった、切なかったなどいろんな感情を抱いた時代を思い出し、自分の歩んできた道を思い出します。

今の若者も、人生の半ばを過ぎたころに自分の歩んだ道を思い出す時が来るでしょう。

最近はいろいろな分野で世界のトップレベルに達する日本人が増えてきたと思います。スポーツ、芸術、芸能、美容、料理、ビジネスなど多岐にわたる分野で日本人が活躍しています。その中でも若い世代の人たちが多く活躍しているのを目にすると、個を大事にする教育は間違っていなかったんだなとつくづく感じます。

活躍する若者が多くなったとはいえ、やはり成功をつかむのは才能のある人の中でもごくわずか、才能だけでなく、良い環境、良い指導者に恵まれ、チャンスをうまくつかんだ人だけです。才能はあっても、チャンスに恵まれなかったりして夢破れることの方が多いのが現実です。しかし、誰一人として無駄な生き方をしている若者はいないと私は思います。大きな舞台に立つことやたくさんのお金を稼ぐだけが素晴らしいことではないと思います。そこに到達するまでにした努力、得た知識、やってきた学習はあればあるほど人生を豊かにしてくれると思います。

また、良い仕事に就くことが素晴らしいことだと言われますがそもそも「良い仕事」って何でしょう。お金を儲けることでしょうか。もちろん儲けの無い仕事では生活できません。でもそれだけではないと思います。やりがい、夢、目標そういうものが人生を豊かにしてくれるのだと思います。

私の知り合いにある青年がいます。彼は大学進学の時に鳥取から大阪にやってきました。彼の学生生活は全てにおいては決して派手ではなく、むしろ地味だったと話してくれました。目立たず、大人しい少年だったそうです。数年前に知り合い、そこから、仕事の悩み、恋の相談などいろんな話をしました。この2年ほどはコロナの影響でお酒を飲みながら話すということが全くできていないのでさみしいです。

そんな彼は製品分析に携わる仕事をしています。彼は入社以来、社員のだれよりも早く出社して、他の社員の人が気持ちよく仕事を始められるように、夏は冷房、冬は暖房を入れ快適な温度にし、他の作業準備も行っているというのです。また、以前、日曜日に一緒にお酒を飲んでいると彼だけ他のメンバーより早く帰宅するのです。その理由を聞くと次の日が月曜日だから、週の初めの仕事のために早く寝るためだというのです。私は彼の考え方に頭が下がります。自分のためだけでなく一緒に仕事をする人のために環境を整えるというその気持ちが素晴らしいと思います。彼がやっていることは目立つような大きなことではないですが、それをずっと継続してすることがどれだけ大変なことか。彼が作業準備をすることで仕事にスムーズに入れる。そのことで作業効率が上がる。大きなプロジェクトを成功させることと同じか、それ以上の価値があると思います。彼は会社で大きな舞台に立ち輝いていると思います。

誰の人生においても、人生の舞台があり、道があります。人より目立たなくても、秀でた部分がなくても、人を思いやり、精いっぱいの努力を続けることがその人の人生を輝かせ、しっかりとした道を作っていくと思います。

子どもたちにも伝えたい。今、人を思いやり、自身の最大限の努力をすることが、これからの自分たちを輝かせ、自分が歩んでいく道を作っていくということを…。

私も若いころは夢がありました。しかし、歳を重ね、見ていた夢がかなわないとわかった時、あきらめ、現実を歩んできました。そんな過去があるから、古い曲を聞くと涙が出てくるのかもしれません。だから涙は「懐かしの涙」でもあり夢が実現できなかった「悔しさの涙」もあるかもしれません。

今の私にできることは、今自分にある力を目いっぱい使って現実を歩み、その歩んでいる姿を未来のある人たちに見せることかなと思います。そうすることで、未来に道を作ることが出来ると考えています。

今回のひとこと

「挫折がなんだ。 曲がった角のその先もちゃんと道が続いてるじゃないか」